皆、いかにもヴィジュアルバンドのメンバーらしいド派手な感じだ。
あんなに曲を聞いて、ライブに行って、確かにレンなのに、レンが人間でお父さんで現実に目の前にいたら、全く知らない人だった。
響は、何度自分を驚かせるのか。
ザワザワとした、まさに知らない夜の雰囲気の席に、泣いてる響。
側から見たら、どう見ても謙太郎が連れてきたと思われるだろうし、そうでありたかったし、でも実際はここは響の場所だった。
レンが横から野太い声で、
「なぜ、泣いてる?」
と言った。
声を使う職業の人独特の、舞台で話すような良く通る低い磨き上げられた声だった。
地の底から聞こえる、魔王のような⋯⋯ まさに『デリバリー マリス(悪夢の配達)』と妙に感心してしまう。
謙太郎は響にまわした腕をおろすべきか迷ったがそのままに、
「俺が泣かせた。すみません」
と謝った。


