響は謙太郎を唆す


心がキュッとした。

響だ。

制服のまま、いつものように髪をきちんと三つ編みにして、謙太郎を見上げて、今、冷静な声で話したが、その表情は何だか泣きそうになってる。

謙太郎は思わず響の頭に触れてから、そのまま、その頰に触れて⋯⋯ 。

「おい!ナイト!キョウスケと、一緒に来い!」

大きな声で後ろから言われて、やっとどこにいるのかを思い出した。

『兄』とたぶん指差された、若い赤い髪の男が近くに来て説明しだした。

響は謙太郎のシャツを持ったまま俯いてしまった。

父親と他の人は、響の後方ビルの横にある、地下に入るような階段を降り始めている。
お店があるようだった。

「ナイト、俺、戸波 弦ゲン。打ち上げあるんだ。キョウと来てくれ」
「打ち上げ?入っていいんですか?」
「レンが来いって」