響は謙太郎を唆す


すると後ろにかばった響が、

「本当に名前、内藤なんだけど!」

と言い返した。

男は大声で笑い出す。
周りの派手な人達も笑いながら、
「マジ、ナイトだぜ」
とか、口々に言う。

(えっ?)と思った。
響が、後ろで、

「ごめんなさい、この人お父さんなの。明日の学校に持っていくお金をもらいにきて⋯⋯ 」

(⁈)
謙太郎は、黙って驚いた。
(お父さん?この男が?)

響は、謙太郎の背後から、左手で順に指差した。

「父、母、兄、姉」

謙太郎が言葉もなく振り返ったら、ビルの壁と自分の体の間に響がいて、響は謙太郎の制服のシャツを右手でギュッと握っている。