響は謙太郎を唆す


謙太郎は塾で、いろいろ調べた。

国立を考えたが、今までの準備や偏差値、浪人の事を考えると、結局今の附属大学が具体的な進路になる。

奨学金のページもコピーした。

附属高からの進学だと入学金も免除だった。

外部受験の日程と科目と、それから塾の科目を変更する話し合い、親は塾に行かせてあまり内容は気にしていないようなので、変更してもバレないだろうと思う。

こんな姑息な一歩しか踏み出せない。

塾から出たら、少し弱くなっている昼間の太陽の熱がおさまり、8月の終わりの夕方だった。
真夏に比べて確実に日没が早くなっている。

心細い気持ちがした。
弱気になりたくなかった。

大抵の大手の塾は、なぜか繁華街近くにあるので、謙太郎も電気が灯り始め賑やかになってきた店の道を通っていた。

家に帰って、また大げさに食事を出されると思うと鬱陶しくて、親にそう思うのが悪い気持ちがして、でも理解してほしいと思って、また円の中に閉じ込められる気がする。