「今日はブルーだわ〜」

「呼んだか?」

「いや、そういう意味じゃなくて」


放課後。部活が始まってる時間。

あたしこと結城里奈と、五月雨夏希は、誰もいなくなった校舎内を走り回っていた。

「負の波動は、どこからするんだ?」

夏希は、廊下に漂う波動を探った。

「わからないわ。あまりにも、微弱で…」

あたしも探ったが、わからなかった。



いきなりだけど、

あたしと夏希は、この学園をメインに、世界を守る乙女戦隊月影のメンバーなのだ。

乙女レッドが、あたしで、
乙女ブルーが夏希。 

他にも、メンバーはいる。

五人揃わないと、必殺技が使えないけど、まだピンクが見つかっていなかった。



「今、何時よ」

時間を確認しょうとして、携帯を探したけど…。

そうだ!なかった。

今朝、担任に没収されていたのだ。

そのことが、あたしの気分をブルーにしていた。

(まあ…何とかなるわ)

あたしには兄がいて、しかもこの学校の社会科の教師なのだ。


携帯を取り戻すのは、後でもいい。

あたしは廊下を走りながら、窓から見えるグラウンドと、その向こうで…すべてを染める夕焼けを見ていた。

あたし達乙女ソルジャーは、月の明かりに照らされて、力を発揮できるのだ。

だから、この夕焼けが終わるまで、変身はできない。



「だるい…」

あたしと夏希は、ある教室の前で立ち止まった。

みんな帰った教室内で、1人机の上で胡坐をかきながら、ぼやいている女が1人。

「まじ〜帰るのが、だるい〜」

「蒔絵!」

あたしは、教室内にいる蒔絵に声をかけた。

「うん?」

あたし達を見た蒔絵が、頭をかいた。

「またあ〜あれかよ〜だりぃ」


花町蒔絵。

乙女グリーンである。

「蒔絵!またあいつらが、現れたのよ」

あたしの言葉に、蒔絵は欠伸をし、

「ぶっちゃけ〜どうでもいいし」

と言う蒔絵を、あたしは強引に教室から連れ出した。