私達は、別にお付き合いをしているわけではない。好きだと言われたわけでもない。友達になろうと言われただけだ。
それに、お部屋で過ごす時間は楽しいけれど、ちゃんと距離は取っている。友達の距離感で話をしていると思う。

……でも、だからと言って、毎日お邪魔する事がおかしいと言うことも、気付いている。
では私達は一体どんな関係なんだろう…。
寿貴先生は、どう考えているのだろう。

女嫌いで有名だった寿貴先生が、毎日私を部屋に招く。
女として意識されていないから?
…それも違うと思う。
寿貴先生は私を明らかに意識している。
それは間違いない。
全く恋愛ごとに経験のない私でも、それくらいは伝わるものがあるのだ。

やっぱり、何を考えているのだろう…。


そんな事を考えながら、No.8をポット2つに詰めて、松寿庵さんに向かった。

週の半ば、一度戻ってきた父に、松寿庵さんとの提携の話はしてある。
もちろん、話は前向きな方向で進んでいる。
私が今日伺うのは、よりNo.8に合うお菓子を考察すると言う目的のためだ。