友達って、普通、あそこまでするのだろうか…。生体認証にパスワード…。
レジデンスではもちろんやっていることだけど。
いつでも入れちゃうじゃない。
お部屋の中まで…。
本当に行っても良いのだろうか。


ところが、悩む事自体無駄だとすぐにわかった。
タンブラー定期便が始まって、トゥモローシードセンターへ行き来するようになると、自然と話をする機会が増え、

『今日は何時に終われる?』
『一緒に食べよう。
花の分の食事も頼んでおく。』
『花のだし巻きサンドが食べたいな。』

そんな感じで、毎日誘われるようになった。
登録したので、待ち合わせをする必要もなく、
お部屋に入れてしまう。
毎日のように、仕事の後は必ず寿貴先生のお部屋に寄る生活になって、最初の週末が来た。

でも今日は寿貴先生のところには行けない。
松寿庵さんにお邪魔することになっているからだ。
タンブラーを運んだ時に、寿貴先生には断りを入れておいた。

「わかった。」

と、ただ一言だけだった。
少し不機嫌だったかもしれない。