御曹司は魔法使い⁉︎

こっちが恥ずかしくなるよ。
何もかも空回っている気がする。
一旦落ち着こう。
花から離れるべきだ。
…それなのに、帰って欲しくないと思っている自分がいる。

「そう言えば……寿貴先生は、お父様と一緒に住んではいらっしゃらないんですよね?」

突然、全く違う話を振られた。
有難い。彼女なりの気遣いだろう。

「ああ。元々、桜川産婦人科は住居を兼ねていて、老朽化に伴い、病院と住居の全てを取り壊し、土地はビジネスホテルに貸すことになった。
その際、両親はレジデンスに引っ越した。
俺は大学を卒業してすぐに、独立している。だから以前から同居はしていないんだ。」

俺の今の住まいは、ベリヒルホスピタルタワーマンション。病院の真横に立つタワーマンションだ。ここは、言うなれば社宅。
しかし、一般的な社宅とは全く違う。
都内の高級タワーマンションのように、コンシェルジュにゲストルーム。ジムにプールにスパ。バンケットルームまである。