父、朝倉仁(あさくらじん)は黙っていれば、かなりのイケメン。しかも高身長。いわゆるイケオジってやつだ。でも、喋り始めるとちょっと残念なのよね。
仕事はもちろん出来るんだけど、なんと言ってもせっかちで落ち着きがない。直情型で突っ走ってしまう。発言は俺様で裏表は一切なく、思った事はポンポン口に出してしまうのよ。
でもそんな父だからこそ、誰からも信頼されるというのも納得するところ。この人は嘘をつかない、と安心感を与えてくれるから。
周りにいる人は皆んな振り回されてしまうから、父の秘書は母でないと務まらないのだ。

「葉子にはちゃんと言ってきたぞ。
勝手に抜け出したわけじゃない。」

「そう。ならいいんだけど…。
桜川院長室にお邪魔してたの。
金子堂の塩豆大福を頂いたから、食べにおいでって誘ってくださって。
でも、緊急オペで、いらっしゃらなくて、結局美咲さんと話し込んじゃった。」

センター長の事は言わなくてもいいだろう。

「そうか。雅貴さん、相変わらず忙しそうだな。」

「あ、お父さんそれよりね…」

父がせっかく居るんだから、早速さっきの企画を話してみよう。