「今何時だと思ってるの?
私、今日産んだところなんだよ?
そろそろ休みたい。」

「…‼︎
ご、ごめん!
俺、花の主治医なのに!
横になってくれ。」

「うん…。
ねぇ、気持ちは嬉しい。
でも、本当にいつでもいいの。
指輪よりもっと大事な宝がここに居るんだもん。」

そう言って、コットに寝かされた仁貴を見やった。

「…うん。そうだな。
ごめん、俺…。」

「もういいよ。
結婚式の日程をまず決めて、それからゆっくり選ぼう?
今、出産で指も浮腫んでいるし。ね?」

「わかった。
でっかいの、買ってやるからな!」

ああ、なるほど…。
これは周さんに対抗意識を燃やしてるんだな…。

「フフフ。うん。ありがとう!
楽しみにしてるね。」









こうして、私は初めての出産を終えた。
家族3人になって初めて過ごす夜。
この人と出逢えて良かった。
私、本当に幸せだ。



「花。
仁貴を産んでくれてありがとう。
俺、花と仁貴をこれから全力で守っていく。
幸せになろうな。
愛してる。」

「寿貴先生…うん。
私も、愛してる!」