「ねぇ、どうしたの?」

「…俺、重大なミスをした。」

「…はい?
え、何?
仁貴は無事に産まれたんだけど…。」

「違う!
指輪だ。
俺、花に指輪をやってない…。」

「…あー。そう言えば。」

結婚自体かなり勢いだったこともあるし、入籍だけで式も挙げていない。
だから、指輪のことは私も抜け落ちていたなぁ。
でも…

「出産が終わったら式を挙げようって言ってたじゃない?
指輪はその時までに用意すれば…」

「いや!ダメだ!
今からでも外商に持って来させる!」

「え!ちょっと待って!」

今何時だと思っているのよ〜。
もう夜の9時なんだけど。
そろそろ私も休みたい。
出産直後はハイな状態になっていたから意外と元気だったけど、来客もたくさんあったから、
さすがに疲れていた。