さほど大きくはない二階建ての建物の一階が店舗になっているようだ。
 ドアの横のガラス窓越しに、何人か客さんがいるのが見える。こんなに繁盛しているなんて、きっとさぞかし効き目のよいお薬を売っているに違いない。

「ディーンに買って、送ってあげようかしら」

 ディーンは体調を崩し始めた一年前からずっと、叔父のシレックが手配した治療薬を服用している。しかし、定められた用量を服用してもよくなる気配はなかった。むしろ、徐々に体調は悪い方向に向かっている。

 アイリスは大通りに設置されている時計を見た。

 ──まだ一時間以上あるから平気よね?

 余裕を持って来たので、集合時間まで時間もある。

 ──よし、そうしよう! ディーンも元気になるかも!

 お金はそんなに持っていないけれど、少しの薬くらいならなんとかなるはずだ。そう決めてアイリスは店内に入る。