先日負った怪我のせいでアイリスは何日もうまく剣を扱えず訓練を見学した。そのせいで『落ちこぼれ』と陰で言われているのは知っていた。

 前の試合が終わり、闘技場のほうから歓声が響く。

 剣技大会の勝負は頸、腹に一撃を食らうこと、もしくはどちらかが負けを認めるか、審判が試合終了と判断すると勝負が決する。
 制限時間は三分で、その間に勝負が決まらないと審判の判定により勝負が決まる。

 アイリスは闘技場の中央に立つと、しっかりと相手を睨み付けた。

「始め!」

 審判の合図で、アイリスはすぐに攻撃に移ろうと剣を抜いた。しかし、一瞬早くジェフリーが動く。

 ──カキン!

 剣を受け止める、高い金属音が鳴る。