もうこれ以上、許さない

風人はコクンコクンと頷いて。
マスターと誉とあたしの、それぞれに会釈をしたあと。
ほんとに何も言わずに帰っていった。


危ないところだった…
勝手に誉を彼氏にするわけにはいかないし。
そんな事したら、何言ってんだよって不快にさせる。

かといって。
飲みにも行かなくて、彼氏に誤解されたら困るから名前呼びもしない設定のあたしが…
ー「待ってよ誉っ」ー
ここで意味深に呼び捨てしといて、彼氏じゃないって否定するのもムリがある。

とにかく。
誉やマスターに変に思われなくてよかったと、ホッと胸を撫で下ろすも…

席につくなり、誉からもっともな事を突っ込まれる。


「…今の誰?」

「ああっ、クリーニングのお客さんっ?」

「お客さん?
と、あんな親しくする?」

「だよね〜。
彼すっごくフレンドリーでさっ、誰とでもあんな感じっ?
ほらっ、ここに来たのもマスターのお父さんと仲良くなったからだし。
そう!あのじゃがいもも彼が分けてくれたんだっ」

なんて。
誉やみんなにあげたのは、お母さんがくれた方だけど…

「…ふぅん。
だからって、あんな思いきりバチンて口押さえても大丈夫な仲?」