もうこれ以上、許さない

そして案の定…

「いつも訊こう訊こうって思ってたんだけど、ルナってどんな字?」

風人はあれから毎日通ってきてた。


「お月様の月に奈良の奈」

そんで「それでルナって読むんだ!?
すげえっ、カッケー!
つかさらに可愛いしっ」とか言うんでしょ?

予想通り…
指で漢字を書いた風人は、昔と同じ反応をして。
またため息が出た。


「それより菊川さん。
ここで油売ってる暇があったら仕事しなよ」

「してるし!
むしろめちゃくちゃ頑張ってるから、こーやって昼休憩に、月奈ちゃんの笑顔で癒されに来てんじゃん」

「あたし全然笑ってないと思うけど」

「うんだから、いらっしゃいませとありがとうございましたの笑顔」

そのために!?

確かにあたしは…
いつも不意打ちで現れる風人に、満面の笑みを向けてるし。
体良く追い払うためにもそうしてる。

でもそんな営業スマイルのために、毎日通ってくれてたなんて…
突き放してる事を申し訳なく思ったと同時、胸が締め付けられる。


「そういえば、月奈ちゃん昼メシはどうしてんの?」

「どうって…
お客様がいない隙に食べてるよ?」

「ええっ、それじゃゆっくり食べれないじゃん」