開いた口が塞がらなかった。

さぞかし自分に自信があるんだろうけど…
女をナメてると、当然腹が立った。


だけど…

あたしだけとか言っといて、あっさり鞍替えしたり。
どんなあたしでも受け止めるとか言っといて、結果的には切り捨てたり。
そんな口だけの人より、なんだか誠実に見えてしまった。

誰だって悪者にはなりたくないし、自分をよく見せようとするものだから。


そしてなにより。

いいかげん、引きずってる別れがしんどくて。
もう忘れたくて。
それを紛らわせてくれる何かに縋り付きたかった。

しかもセフレなら、風人を苦しめた嫉妬や独占欲を持たずにすむ。


「…いいですよ」






そう、何も求めない。

そうすれば、辛い思いをする事もないし。
切り捨てられる事もないだろうし。

もう誰かを苦しめる事もないはずだから…