もうこれ以上、許さない

ところがスーパーの店長さんは、形式上始末書を提出させただけで。
若いのに責任感があると、逆に評価してくれたのだ。

そしてマスターは、その店長の息子で。
当時、昼間はそのスーパーで働いてたから、事の経緯を知っていて。
それを機に話すようになり…
バーをやるから遊びに来てと、今に至る。


「とにかく、ちょっと絡みにくいお客様がいてね?
なんとかなる気がしないってゆーか…
これからどうなるんだろって、先行き不安になってるとこ」

「うわー、しんどいな。
予断を許さない状況ってわけか」

「あ〜、そんな感じ」

何も求めたくないあたしにとって、マスターと話すのは気が楽だった。
必要以上に心配されるわけでもなく。
無理に力になろうとしてくるでもなく。
ただ共感してくれるから。


すると。

「…ふーん、諌には打ち明けるんだ?」
後ろから乾いた声をぶつけられて。

驚いて振り向く。
「誉っ、来てたんだっ?」

たぶんお手洗いで席を外してたんだろう。
だからマスター、待ち合わせ?って訊いたんだ…


「…でももう帰る、いくら?」

「おいおい、拗ねんなよ〜」

だけど誉はカウンターに5千円札を置いて。
「余ったら月奈の分にして」と帰ってしまった。