もうこれ以上、許さない

[もぉっ、1回だけって言ったのに…
仕事遅れちゃうよ?]

[だって、1回じゃぜんぜん足んないし…]

[でも夜いっぱいしたじゃんっ]

[そーだけど…
つか()に言っとく。
俺、月奈抱いたら理性ぶっ壊れて、我慢とかムリだから]

[いやもう()だからねっ?
しかも予告するとか、我慢する気ゼロだよねえ?]

[いや我慢する気はちゃんとあるよ?
けどもうマジでおかしくなるもん。
だから、あと5分いい子にして?]
と唇を奪って、抵抗する手に指を絡めると。

その手がふっと力を失くして、俺の手にぎゅっとしがみついてきて…
5分じゃ終われなくなった甘い朝。



だけど。

「え……えっ?
なんだこれ……」
どれも身に覚えのない出来事で…


いや違う。
これは…

これは、失くしてた2年間の記憶……だ。



そうだ、俺は月奈と付き合ってた…
月奈は俺の彼女だった。

嘘だろ、なんでそんな大事な事忘れてんだよ!


とはいえ、あまりに膨大な記憶の渦に…
処理や感情が追いつかなくて、頭がパンクしそうになって。
吐きそうになった俺は、速攻トイレに駆け込んで…
嘔吐したあと、朦朧(もうろう)として意識を失くした。