もうこれ以上、許さない

「入るね?風人。
ほら、樋口さんも早く」

混乱した様子でうろたえてる風人をよそに、そう中に進む玉城さん。

気が気じゃなかったあたしも、すぐにそのあとを追うも…
お父さんの姿はどこにもなくて。

「ごめんね?
でも嘘つきはお互いさまだよね?」

その言葉で、はめられたんだと気付く!

考えてみれば。
あれほどあたしとの接触を隠して、口止めしてた玉城さんが…
自ら風人に暴露する状況を作るなんて、おかしいに決まってたのに。
風人の家がバレてた事やお父さんの事で動転してたあたしは、そこまで気が回らなかった。


「座って?風人も。
大事な話があるから」

ここまでするほど大事な話って…
嫌な予感で息苦しいほど胸が騒ぐ。

「…月奈(かのじょ)は関係ないだろ。
いいよ、帰って」
風人があたしの背中に手を添えて、逃がそうとすると。

「だったら戻って来てよ!
パパ(●●)になるんだからっ」

その瞬間。
思考が、身体が、フリーズする。


今、なんて…?
衝撃的な告白に、耳を疑うと。

「…は?
なに言って…」
風人も同じ状態を口にした。

「ほんとだよ?
今、10週なんだって」
そう言って玉城さんは、バッグから母子手帳を取り出して…
挟んでたエコー写真を差し出してきた。