もうこれ以上、許さない

「うん、野菜もらいに行った時。
あの子が始末書書く事になるなんて、よっぽどの事があったんじゃないかって心配してた」

いや2度目だからね!?
むしろ常習犯だよ…

「いやもうほんっと申し訳ない。
でも、その事を引きずってるわけじゃなくて…
実はね?
あたし、この町を離れようと思って」

「えっ…」
一瞬固まって、珍しく動揺するマスター。

「あ、誉にはまだ言わないでねっ?
自分の口で言いたいから」

「やっ、それはいーけど…
地元に帰るとか?」

「ううん、逆かな。
でも正直、迷ってるんだ…
そうする事で悲しむ人や、めちゃくちゃ心を痛める人がいるとして。
それでも後悔、しないのかなって」

「そりゃするだろっ」

「…はは、そーだよね」
ズバリと言われて苦笑うと。

「そっ。
どんな道選んだって、なんらかの後悔はするもんだよ。
悩んだところで、先の事はわかんないんだし。
だったら、自分がどうしたいかで決めるしかないんじゃないかっ?」
そう続けられて…

迷いが、振り払われた気がした。


「ありがと、マスター。
おかげでなんか、スッキリした」

「そりゃよかった」
そう笑った顔は、どこか切なげで…
だけどすぐに、明るく掻き消される。