もうこれ以上、許さない

風人が言ったように、駆け落ちした方が家族を巻き込まずにすむとしても…
悲しませたり、心配かけたりするのは紛れもなくて。
元々逃げてるあたしでも、こんなに心が痛むんだから…
風人は比べ物にならないくらい痛いだろうし。
それどころか、もっと追い討ちするかもしれない。

ー「後悔しない?」
「…こっちのセリフだよ」
「なんでっ!」ー

だって、駆け落ちしてすぐに記憶が戻ったら…
あたしなんかのために全てを捨てた事、後悔するに決まってるから。


そんな気持ちで、モヤモヤを引きずってたあたしは…
気晴らしと、もう行けなくなる寂しさから、久しぶりにCyclamenを訪れた。

「おー、元気してたか〜?」

「うん、なかなか来れなくてごめんねっ?」

「ぜーんぜん。
まぁ、俺の彼女とその彼氏は寂しがってたみたいだけど」

「それマスターじゃんっ」

「正解っ。
でも元気そうで良かったよ」

そうやって、いつでも家族みたいに迎えてくれるマスターと。
居場所になってくれてたこの店から、離れがたくて切なくなる。

「…おっと、元気(そう)でもない感じ?
もしかして、黒歴史パート2を引きずってるとか?」

「っ、店長(お父)さんに聞いたのっ?」