もうこれ以上、許さない

「月奈と離れるのだけは、絶対にムリだから」
真剣な眼差しで力強く訴えられて…

ぶわりと涙が堰を切る。

嬉しくて嬉しくて、息も出来ないくらい嬉しくて…
心がこれでもかってくらい握り締められる。


だけど駆け落ち(それ)は…
全てを犠牲にして、あたしに人生を捧げると言ってるようなもので。

「簡単に言わないで!
そんな事したら、家族が犠牲になるかもしれないんだよっ!?」
仕事は他にやりたい事があるからいいとして…
風人が家族を大切にしてる事も、弟や妹をすごく可愛いがってる事も知ってる。

「うんだから、簡単に言ってないよ?
けど家族はさ、俺らがいない方が犠牲にならないんじゃないかなって。
だって、俺らがいないとこで何かしたって意味ないじゃん。
だったら逆に、離れた方が巻き込まずにすむかなって」

…確かに、そうかも。
風人と別れたくなくて、風人を縛りつけるために、家族を追い詰めるなら…
本人がいないのにそうしたって意味がない。

「だけど…
もう会えなくなるかもしれないんだよっ?
家族だけじゃない。
何もかも、全部捨てなきゃいけないんだよっ!?」

「うん、捨てるよ?
月奈といられるなら、何もいらない」
当たり前のように断言する風人に。