もうこれ以上、許さない

「さっ、食べよ食べよ〜」

「流されたし…
俺ってほんと、タイミング悪いよなぁ」

そういじける風人が愛おしい…

「ふふっ、かわいそうだからこの人参のグラッセあげるね」

「マジでっ?
いや俺、めっちゃ好きなんだけど!」

知ってるよ。
あたしは、風人の事ならぜんぶ覚えてる。

「やっぱ俺ら、結ばれる運命だって!」

「気のせい気のせい」

「いーやっ、この赤い糸よりぶっとい赤い人参で結ばれてるね」

「うん、それオレンジ(色)だけどね」

そうやってあたしたちは、あの頃のようにバカみたいな話で盛り上がって…
なかなか食事が進まなかった。



「このあとどーする?
ドライブでもするっ?」
ファミレスを出て車に乗り込むと、そんな嬉しい提案がされる。

だけど…
「…帰るに決まってんじゃん」

「あ〜あ、もっと一緒にいたかったのに」

あたしだって、この時間がずっとずっと続けばいいと思ってるよ。



そうして、家まで送ってもらってると…
車が、右折する場所で左折した。

「ちょっ、今の右だって」

「チッ、バレたか」

いや逆方向じゃバレるに決まってんじゃん!


「…で、いつ軌道修正するつもり?」

「あー、それ禁句。
焦ってもっと迷うから」

「嘘つけっ」