もうこれ以上、許さない

「ねぇ…
会社の社長さんが、婚約者のお父さんなんでしょ?
別れたら仕事、どうなるの?」

すると風人は目を大きくして動きを止めた。

「ごめんっ、立ち入った事訊いちゃって…
忘れて?」

「忘れないしっ。
つーか、初めて俺の事に興味持ってくれたから…
ヤバい、嬉しんだけどっ」

初めてじゃないけど…
そうだね、今までは風人の事を考えないようにしてたから。

でも気持ちを解禁してからは、色んな事が気になり始めてた。
例えば、玉城さんとは今どんな状況なんだろうとか。
いつ出張が終わるんだろうとか、他にも色々…


「仕事はたぶん、辞めなきゃいけなくなると思う。
ヘタしたら、今やってる業務からも外されるかも」

やっぱそうだよね…

「…それで、いいの?」
休みでも、今みたく熱心になってたくらいなのに。

「まぁ、やりかけてる仕事はちゃんとやり遂げたいけど…
辞めんのは、別にいっかなって。
俺、やりたい事あるし」

そっか、電気工事士。
でもお父さんの後を継ぐにしても、社長は超お得意様なわけだから…
婚約破棄したら、そっちにも悪影響が出るんじゃない?
そう思ったところで。

「てゆうか、心配してくれてんだ?」
嬉しそうにニヤニヤする風人。