呪イノ少女、鬼ノ少女

どっと疲労感が体を襲い、堪らず九音は膝を着いた。


呼吸が荒い。

血管がはち切れんばかりに鼓動が早い。


少しばかり、今のは無理が過ぎたか。


「けれど、大体は把握した」


ガクガクと笑う膝に手をついて立ち上がり、額の汗を拭った。

『視えた』のは、断片的な映像だけだった。

記憶を刻んだ時の雛子は、かなり錯乱していたせいだろう。

だから脳には断片的で、より印象的な景色しか残っていなかったのだ。


九音は微かに痛む額を抑えながら、疼くまったまま動かない雛子を見下ろし、


そして…


この上ない程に、愉悦に浸り切った笑みを浮かべた。


「半鬼……お前、親を殺したわね」


こみあげそうになる笑みを殺して、抑揚無く告げた。

---だが、


「え…?」


そんな反応が漏れたのは、九音のすぐ背後からだった。


「澪」


どうやら視ている間に起きたらしかった。

しかし、九音は特に驚いた様子もなく、まるで最初から澪が起きたのが分かっていたように、ごく自然に振り返った。


「起きたのね。気分はどう?」


しかし澪は、九音が口にした言葉に混乱し、呆然と立ち尽くしていた。

その視線は、九音ではなく、その後ろで耳を抑え疼くまったまま動かない雛子を捉え、悲哀とも、驚きとも取れる色を湛えていた。