呪イノ少女、鬼ノ少女

一時間ほど後。


珠祭屋敷。


澪を中庭に面した一室に寝かせ、九音は風に当たる為に縁側に出て来た。


「お前も上がれば?」

九音は一度伸びをしてから、屋敷に上がらず、庭で控えている雛子を見下ろして言った。

だが、雛子は頑なな表情でゆっくり首を振った。


「九曜の者が屋敷に上がる事は出来ません」


九音はそんな雛子に蔑みの目を向けながら、肩に掛かった髪を後ろに流した。


「ふん、珠祭なんてもう有って無いようなものよ。そうでしょう?」


吐き捨てるように言って、九音はその場に腰を下ろした。

だが、そんな九音の自嘲にも雛子は石像のように固く姿勢を保ったまま何の反応も示さない。


やれやれと、九音は首をすくめた。


「まだ、私が憎いのかしら?」


庭に膝をついて俯いたままの雛子を、九音は鼻で笑って言った。


ピクリと雛子は肩を僅かに震わせたが、地面に爪を食い込ませて堪えていた。


「…そんなことは」


嘘つき、九音は心の中でそう毒づいた。

憎しみを無理に押さえようとして、声が震えている。


「ふん、相変わらずつまらない娘ね」