呪イノ少女、鬼ノ少女

「自分で分かってるなら、優しくしないで」


雛子は澪の腕の中で、声を震わせ、絞り出すように言った。

そんな雛子に、まるで小犬みたいな愛おしさを覚え、澪は一層強く抱きしめた。


自分の愚かさは分かっている。

それでも、やはり今ここでこの少女の事を放すわけにはいかない。

甘かろうが、残酷だろうが。


出来ないものは、出来ない。


波崎澪は、そのような事を認められる人間ではないのだから。


「ごめんね。でも、何もせずにはいられない。それが、私だから」


だから…、と澪は雛子の髪に口付けるように、彼女の頭に顔を埋めた。

雛子の柔らかな香りが鼻孔を満たす。


---刹那、


「っ…!?」


視界が赤と黒に明滅して、意識がクラリと揺らいだ。


---何…これ?


「澪さん…?」


一瞬体が強張ったのが分かったのだろう、雛子は不思議そうに顔を上げた。


「んっ…何でも、ない」


口ではそう言いながらも、本当は凪いだ水面に石を投げ込んだように、視界と意識が波紋を打って揺らいでいる。