呪イノ少女、鬼ノ少女

「ここ茜さんの家…きゃっ!」


まだ頭がぼーっとしている澪は、ぐるっと部屋を見渡して、襖のところで視線を止めて、短く悲鳴を上げた。


「へ?」


何事か、と二人がその視線の先を追うと…。


金髪の少年が、襖から半分顔を出して部屋を覗いていた。

やけに挙動不審だ。


「大和じゃない。何してんのー。入ってらっしゃい」


どうやら入っていいのか、オロオロしていたらしい。

茜が手招きすると、少し戸惑いながらも、澪が寝ている布団の側にちょこんと正座した。

金髪の後ろを山嵐みたいにして、耳や唇にピアスをたくさん着けている。

一見して軽薄そうに見えるのだが、ガチガチに緊張して、姿勢がおかしい事になっている。


「…」

「…」


…静寂。

無言。

沈黙。


大和は上を見たまま固い表情で、口を真一文字に閉じている。

額は汗でびっしょり。


緊張しているらしい。


「大和ー、挨拶ぐらいしたら」


そんな大和を見兼ねた茜がそっと耳打ちする。

ハッと大和も気付いたのか、慌てて膝を開いて仰々しく頭を下げた。


「はっ…はじめまして…その鬼切…大和ッス」

「あ、えと波崎澪…ッス」


何故か、澪まで釣られて「ッス」と付けている。


少年は澪と同じ年くらい。

薄い金髪を尖らせて稼いだ丈を抜いても、背は澪より少し高いくらい。

切れ長の目は照れているのか伏せ目がちで、軽薄そうな顔は赤く茹で上がっている。


「えと…オニギリ君は」


………。



一瞬、空気が固まった。


「オニギリだって、母さん」

「お握りが食べたいわ、雛」


茜と雛子が腹を抱えて大笑いする。

間違えた澪は澪で、何があったのかは判らず、『あれ、オニギリ君?え…オニギリ君??』と連呼。


そのせいで、ますます大和の顔が真っ赤に染め上がっていく。


「そ、その…澪サン、俺の名前…ぉ…オニキリッス…」