九音は不満そうだが、さすがにずっとしゃべらされていた澪はかなり疲れていた。
このままの調子で、彼女に乞われるまま話していたら、明日の朝まで喋らされかねない。
「残念ですけど、今日はお暇します」
「むぅ…本当は泊まっていって欲しいのだけれど…」
とはいえ、九音もそれ以上は澪を引き止めようとはしなかった。
いや、むしろ澪を家に帰そうとしている様にも思える。
先程から少し具合が悪そうにしているからだろう。
それならば、尚更早く立ち去るべきである。
「道は分かる?ちゃんと一人で帰れる?」
「大丈夫、ちゃんと覚えています。それより、九音さんこそ具合悪そうですけど、大丈夫ですか?」
「ええ、いつもの事だから心配はいらないわ」
などと九音は笑っているが、本当はかなり具合が悪いのだろう。
澪が帰ろうというのに、立ち上がることもしない。
いや、出来ないのか。
「あの…、薬か何か持って来ましょうか?」
「いいえ、一人で寝ていれば治るから」
澪が手を伸ばそうとするのも拒んで、九音は無理に笑顔を作った。


