呪イノ少女、鬼ノ少女

澪がこんなに取り乱しているのに、九音は決してその愛情に満ちた瞳を揺らすことは無かった。


「理由は教えて上げられない…。でも、それでも…私はあなたの側にいたい。それでは駄目なの?足りない?」


九音の冷たい手が、ゆっくりと慈しむ様に澪の頭を撫でる。


「私は澪の側にいるだけでいい。澪が側にいてくれるだけでいいの…」


お願い…、と九音の片方だけの瞳が切なげに語っていた。

他には決して何も望まない。

ただ、澪の側に、澪が側にいるだけでいい。

それが九音の望む事だった。


「…それがあなたを救うんですか?」

「そうよ」


九音は深く頷いて、澪の柔らかな頬を愛しそうに何度も撫でた。

そうして九音が触れた所から、澪の頬はゆっくり花開くような可憐さで、ほんのりと赤く染まっていく。


二人の視線は絡み合い、見つめ合うその刹那が永久にも続く様に感じられた。

そして、最後に九音は止どめとばかりに、澪の耳元で囁いた。


「側に…いてくれる?」

「ぁ…」


酷く甘ったるい、だがとても力のある声に、意識が霞んでいく。


澪は頭の中が深く濃い霧に包まれたまま、コクリと頷いて、九音を受け入れた。





「ありがとう、『私の』澪」





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