呪イノ少女、鬼ノ少女

「最低っ!あなたには珠祭の当主として自覚が無さすぎますっ」


雛子は顔を真っ赤にして叫び散らした。

よっぽど思いを込めて叫んだのだろう。

呼吸が乱れ、肩を大きく上下させていた。


「自分の犬に吠えられるのは好きじゃないわ」


シッシッと手を払って、いやらしく笑う。

どうやら雛子をからかって楽しんでいるようだ。

それがますます雛子を苛立たせる。


「い、犬ですって。いいですか!澪さんに手を出したらご当主、あなたでも」


雛子はギリッと歯を鳴らした。

今にも女を殺しかねないほど、瞳に暗い色が宿っている。


「怖いわね。本当に何もしないのに。私は澪と話をしたいだけよ」


雛子の耳元で、女は艶っぽく囁いた。


「あなたは信用出来ません」

「ふん。いいわ」


そう言って、女は雛子を突き飛ばした。


「当主として命じるわ。鬱陶しいから、澪を残して失せなさい」


冷たい瞳で、後ろに倒れこんだ雛子を見下して告げた。

温もりも感情も無い、ただ取り込んだ景色だけを写す黒い瞳。

そこに悔しそうな雛子の顔が写り込む。