呪イノ少女、鬼ノ少女

「綺麗な花に触れたいと思っただけ」


女は下唇を指でなぞりながら、妖しく嗤った。

綺麗な花とは自分の事だろうか、澪は空気も読まずに首を傾げていた。


「あら、我ながらいい理由ね」

「本当にそれだけですか?」


雛子はやけに食い付く。

こんなに敵意を剥き出しにしている雛子は見た事が無かった。


「それだけよ」

「嘘よっ!」


雛子は、不意に伸びようとした女の腕を掴まえて叫んだ。


「嘘?おかしなことをいう娘ね」


雛子の腕を払うと、身をかがめて彼女の鼻先に顔近付けた。


「どこに嘘があるの?澪に触れたい、それだけよ」

「っ…」


雛子は女の妖艶な視線から逃れるように顔を背けた。

その頬から首筋をツーッと白い指が撫でる。


「こんな風に…ね」

「くっ」


肌が泡立つ嫌な感覚に襲われて、雛子は後ろに飛び退いた。

女は額に手を当てて緑の天井を仰ぎながら「くっくっく」と喉を鳴らす。