呪イノ少女、鬼ノ少女

茜の腕を掴み、もう片方の腕を腰に回して茜を抱き寄せる。

雨の中を、ワルツを踊るように四音は茜を抱いたままクルリと回った。


「離せッ!!」

「つれないわね。友人との二十年ぶりの邂逅よ。泣いて喜びなさい」

「五月蝿い!!墓穴臭いのよ!!」


振り解こうと力を篭めるが、どうしたことか。

四音の枯れ木のように細い腕が振り解けないのである。


「よく九音を立派に育ててくれたわね。母として、礼を言うわ」


視界の隅に横たわる九音を捉え、四音は微笑した。

その言葉に、茜はぎりっと奥歯を摺り合わせた。


「黙れ。娘を呪ったお前が、母を名乗るな」

「あら、手厳しい」

「あんたなんかが母親なんて、私が絶対に認めない!!」

「悲しいわねぇ…いえ、ああ、そうね」


怒りを剥き出しにした茜の顔をまじまじと覗き込んでいた四音が、一人納得したように何度も頷いた。


「悔しいのね、お前」


茜の体を更に引き寄せ、口付ける寸前まで顔を近付けて己を見せ付ける。


「九音を呪った私なんかが母親で。娘を愛して止まないお前が母親じゃないことが」