呪イノ少女、鬼ノ少女

「いったぁ~っ…」


ボロボロと、土塀の欠片を崩しながら茜は泥水の中に崩れ落ちた。

酷い眩暈と肉の抉れた肩に走る痛みで、意識が明滅する。

茜はこめかみに掌を押し当てて膝を突いた。


完全に不覚を突かれた。

気配すら感じなかった。

背後からの攻撃の正体は一体何だったのか。


「何なのよぉ…っ!?」


顔をあげようとした茜の影を、黒い影が覆った。

顰めていた瞼をはっと開いて、とっさに横に身を投げ出した。

数瞬の間を置いて、白い物体がその場所を直撃する。


「っ、危なっ」


どれほどの衝撃だったのか。

地面が無残なまでに抉れている。

僅かでも遅れていたら間違いなく致命的だった。

茜は雨だか泥の飛沫だか、はたまた冷や汗だかを拭う。


白い影がゆらりと起き上がる。

濡れた黒髪をばさりと翻らせて、雷鳴轟く灰色の空を仰いだ。


「ふ、ふふ」

「はは…」


二つの笑みが毀れる。


一つは白い影、もう一つは茜。


影が緩慢な動きで、首をの方に巡らせた。

九音によく似た、切れ長の妖艶な瞳が満身創痍の茜の姿を捕らえる。

獣的な微笑を浮かべ、くくっと喉を鳴らした。


「久しぶりね、茜。会いたくなかったわ」

「四音っ!!!!!」