「甚だ疑問だ。何故、足掻くのだ?」
「澪の為よ」
九音は萎えた腕で地面を掴んで、震える膝を叱咤して、フラリと立ち上がる。
「愚かな。抗った分だけ辛くなるのだぞ」
「そうね、随分辛いわ。それでも、私は幾らでも抗うわよ。みっともなくとも抗うわ。愛しているあの子守りたいから」
九音は揺らぐ意識の中で、揺らがぬ意志を吐き出した。
澪の為。
九音の行動は、いつだってそれに終始する。
可愛くて仕方がない澪の為ならば、右目が潰れようが、鬼になろうが構わない。
死すらも厭わない。
あの娘の笑顔を守ってやれるならば、恐ろしい鬼だろうと打ち倒してみせる。
「壮絶な愛だよ、九音。それほどまでに、アレが可愛いか?」
「可愛いのよ」
嘲りの混じった鬼の言葉に、九音は即答する。
「だから、私は、お前達が邪魔なのよ」
意識が、黒く塗り潰れていく。
一度立ち上がった体が、重力に負けて沈もうとする。
だが、まだだ。
まだ、倒れるわけにはいかない。
この鬼を倒し、天草を打ち破り、澪を安全にするまでは、倒れるなんて出来ない。
「謝ろう、九音」
鬼は今までとは違う笑みを見せる。
それは、あたかも母親の慈愛に満ちた微笑。
「我らはお前を侮っていたよ。少し背中を押してやれば、こちら側に落ちるものと思っていた。赤子の手を捻るつもりでいた。だが、違ったな。お前の意志は強靭だ。容易くはない」
「澪の為よ」
九音は萎えた腕で地面を掴んで、震える膝を叱咤して、フラリと立ち上がる。
「愚かな。抗った分だけ辛くなるのだぞ」
「そうね、随分辛いわ。それでも、私は幾らでも抗うわよ。みっともなくとも抗うわ。愛しているあの子守りたいから」
九音は揺らぐ意識の中で、揺らがぬ意志を吐き出した。
澪の為。
九音の行動は、いつだってそれに終始する。
可愛くて仕方がない澪の為ならば、右目が潰れようが、鬼になろうが構わない。
死すらも厭わない。
あの娘の笑顔を守ってやれるならば、恐ろしい鬼だろうと打ち倒してみせる。
「壮絶な愛だよ、九音。それほどまでに、アレが可愛いか?」
「可愛いのよ」
嘲りの混じった鬼の言葉に、九音は即答する。
「だから、私は、お前達が邪魔なのよ」
意識が、黒く塗り潰れていく。
一度立ち上がった体が、重力に負けて沈もうとする。
だが、まだだ。
まだ、倒れるわけにはいかない。
この鬼を倒し、天草を打ち破り、澪を安全にするまでは、倒れるなんて出来ない。
「謝ろう、九音」
鬼は今までとは違う笑みを見せる。
それは、あたかも母親の慈愛に満ちた微笑。
「我らはお前を侮っていたよ。少し背中を押してやれば、こちら側に落ちるものと思っていた。赤子の手を捻るつもりでいた。だが、違ったな。お前の意志は強靭だ。容易くはない」


