「気になるだろう」
火群の鬼、もとい珠祭の亡霊は、九音と組み合ったままの至近距離で囁いた。
「我らを打ち倒して、あの娘の元へ行きたいか?」
「行きたいわよ!さっさと、この薄汚い手を離しなさい!」
九音は離れようと身を捩るが、鬼の力は予想以上に強い。
掴んまれた腕には、鋭利な爪が食い込み緋色の筋が引かれては、雨に打たれて溶けていく。
「いい加減、死体臭いのよ!」
腕は逃げられないと判断した九音は、下から攻めに転じた。
鬼の右足の甲を踏み抜く。
しかし、それは『視』られている。
九音が下駄を履いた足で踏み抜いたのは、ドロドロにぬかるんだ庭。
鬼は既に足を半歩分引いていた。
が、そこまでは九音にも『視』えている。
「今度は鈍い」
鬼が足を引いて重心を後ろに傾けた瞬間、九音は体ごと鬼に体当たりをしていた。
重心を狂わされた鬼と九音は、重なりあって倒れかかる。
だが、鬼の動きはその一歩先を行っていた。
「鈍くはないさ」
そう薄く笑った鬼が手を離し、九音の腕が解放された。
かと思ったら、スルリと蛇のような動きで鬼の腕が伸びて、九音の首を掴んでいた。
そのまま力任せに九音の体を引き倒し、反動で鬼は起き上がる。
火群の鬼、もとい珠祭の亡霊は、九音と組み合ったままの至近距離で囁いた。
「我らを打ち倒して、あの娘の元へ行きたいか?」
「行きたいわよ!さっさと、この薄汚い手を離しなさい!」
九音は離れようと身を捩るが、鬼の力は予想以上に強い。
掴んまれた腕には、鋭利な爪が食い込み緋色の筋が引かれては、雨に打たれて溶けていく。
「いい加減、死体臭いのよ!」
腕は逃げられないと判断した九音は、下から攻めに転じた。
鬼の右足の甲を踏み抜く。
しかし、それは『視』られている。
九音が下駄を履いた足で踏み抜いたのは、ドロドロにぬかるんだ庭。
鬼は既に足を半歩分引いていた。
が、そこまでは九音にも『視』えている。
「今度は鈍い」
鬼が足を引いて重心を後ろに傾けた瞬間、九音は体ごと鬼に体当たりをしていた。
重心を狂わされた鬼と九音は、重なりあって倒れかかる。
だが、鬼の動きはその一歩先を行っていた。
「鈍くはないさ」
そう薄く笑った鬼が手を離し、九音の腕が解放された。
かと思ったら、スルリと蛇のような動きで鬼の腕が伸びて、九音の首を掴んでいた。
そのまま力任せに九音の体を引き倒し、反動で鬼は起き上がる。


