黒い鋼の刀身が鞘から放たれた瞬間。
―――パン!!
空気を入れすぎた風船のような破裂音が響いた。
同時に部屋の窓や障子、天井や床などの隙間から、濁り腐ったヘドロのような空気が滲み出してきた。
「今の音、何!?」
「っ、ご当主の陣が……」
雛子は部屋の片隅に目をやり、不味いと親指を噛んだ。
部屋の隅では、九音が用意していた不浄を徹底的に排除・分解する為の結界、それを構築する札が燃え尽き、消し炭になっていた。
「なんて出鱈目な」
部屋を守っていた陣が、簡単に壊された。
童子切・鬼打を鞘から放っただけで。
ただそれだけ。
全体の一割にも満たない力で、九音の陣が裂かれてしまったのである。
「かなり高等な術のはずなのに」
「確かに強く固い陣だ。敷いたものは、かなりの技術の持ち主だろう。だが、童子切の封じには、これより幾らも高等な陣が用いられていた。それを、労せず切り払うたのだ。この程度の陣では、いくら敷いた所で無駄だ」
「その様ですね。次からはもう少しマシな陣を敷くよう、ご当主に進言しておきます」
そう言って、雛子は僅かに身を低く沈める。
同じように、天草も童子切を正眼に構えた。
そして次の殺那。
両者はほぼ同時に、初手を打ち込んでいた。
*****
―――パン!!
空気を入れすぎた風船のような破裂音が響いた。
同時に部屋の窓や障子、天井や床などの隙間から、濁り腐ったヘドロのような空気が滲み出してきた。
「今の音、何!?」
「っ、ご当主の陣が……」
雛子は部屋の片隅に目をやり、不味いと親指を噛んだ。
部屋の隅では、九音が用意していた不浄を徹底的に排除・分解する為の結界、それを構築する札が燃え尽き、消し炭になっていた。
「なんて出鱈目な」
部屋を守っていた陣が、簡単に壊された。
童子切・鬼打を鞘から放っただけで。
ただそれだけ。
全体の一割にも満たない力で、九音の陣が裂かれてしまったのである。
「かなり高等な術のはずなのに」
「確かに強く固い陣だ。敷いたものは、かなりの技術の持ち主だろう。だが、童子切の封じには、これより幾らも高等な陣が用いられていた。それを、労せず切り払うたのだ。この程度の陣では、いくら敷いた所で無駄だ」
「その様ですね。次からはもう少しマシな陣を敷くよう、ご当主に進言しておきます」
そう言って、雛子は僅かに身を低く沈める。
同じように、天草も童子切を正眼に構えた。
そして次の殺那。
両者はほぼ同時に、初手を打ち込んでいた。
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