呪イノ少女、鬼ノ少女

「雛ちゃ…」

「気にするだけ無駄ですよね。あの人が意味が分からないのはいつもの事なんですから、あはは」


澪が言葉を選び終わる前に、雛子が制した。

無理に笑って、九音の言葉を頭の片隅へと追いやる。


「それに、今はそんな場合じゃないです」


そう。

今は余計な事を考えている暇はない。

火群の鬼が、そこにいるのだ。

幾ら九音とは言え、今回ばかりは分が悪い。

もしかしたら、負ける可能性も考えられる。

そうなったら、せめて澪だけでも守り抜かねばならないのだ。

呆けている暇はない。


「九音さん……大丈夫だよね」

「大丈夫です」


即答する。

そうやって、少しでも澪を安心させる。

九音が心配で泣き出しそうになっている澪に、本当は二:八で分が悪いなんて事実を言えるはずがない。


あの鬼の異常さは、実際間近で見たから肌で知っている。

あれは違う。

存在としての格が違い過ぎる。

次元が違っているのだ。


それでも、


「大丈夫、大丈夫ですから」


無力を噛みしめ、繰り返すしない。

九音に、澪を守れと託されたのだ。

命じられた以上は、雛子が九曜である限り、彼女をあらゆる危険から守らなければならない。

例え、逆恨みに近い感情で九音を憎んでいたとしても。

珠祭の命を、全力を持って遂行する。

それが、九曜の務めなのだ。