「『目』を、使い過ぎているな」
足元まで伸びた黒い髪が、徐々に荒れてきた風に靡いている。
あまりに美しい。
顔色は悪く、体は度を過ぎて痩せ細り、全身の筋肉は衰弱しきっている。
だというに、冗談めいた美々しさだ。
その美鬼は枯れ枝のような指で、九音の右目を指した。
「その右目、最早見えてはいまい。さほど時を置かずに裏返るぞ」
同じモノになる。
美鬼は、そう断言する。
が、九音はそんな台詞では揺れない。
「はっ…」
額に汗を滲ませ、それでも不適な笑みを浮かべる。
下らないと、吐き捨てる。
裏返る寸前なのは理解しているし、覚悟も出来ているのだ。
このままでは、先は半年も無い。
そんな真実は、当の昔から承知している。
だが、それでも構わない。
最低の未練は済ませた。
それに何より、九音はまだ裏返るつもりはない。
その為に、澪がいるのだから。
「早いな、早い。まだ二十前後といった所だろう。通常、兆しが見えるのはあと十年は遅い。そなた、その『目』を何に使った?」
「こう見えて、相当な心配性でね。大切なものは何時も目の届く所に無いと不安になるのよ」
足元まで伸びた黒い髪が、徐々に荒れてきた風に靡いている。
あまりに美しい。
顔色は悪く、体は度を過ぎて痩せ細り、全身の筋肉は衰弱しきっている。
だというに、冗談めいた美々しさだ。
その美鬼は枯れ枝のような指で、九音の右目を指した。
「その右目、最早見えてはいまい。さほど時を置かずに裏返るぞ」
同じモノになる。
美鬼は、そう断言する。
が、九音はそんな台詞では揺れない。
「はっ…」
額に汗を滲ませ、それでも不適な笑みを浮かべる。
下らないと、吐き捨てる。
裏返る寸前なのは理解しているし、覚悟も出来ているのだ。
このままでは、先は半年も無い。
そんな真実は、当の昔から承知している。
だが、それでも構わない。
最低の未練は済ませた。
それに何より、九音はまだ裏返るつもりはない。
その為に、澪がいるのだから。
「早いな、早い。まだ二十前後といった所だろう。通常、兆しが見えるのはあと十年は遅い。そなた、その『目』を何に使った?」
「こう見えて、相当な心配性でね。大切なものは何時も目の届く所に無いと不安になるのよ」


