呪イノ少女、鬼ノ少女

雛子の問いには答えず、九音は下駄を履いて庭に降り立った。

袖から手を出し、軽く準備運動を始める。


「不器用なのよ。しかも偽物だから、器用にやろうとしても失敗する……というか、失敗した、が正しいのかしら」

「ご当主?」

「アレはね、分かっているのよ。自分がおかしい事くらい。でも、だからこそ、澪の言葉が堪える。まぁ、すべて自業自得で同情の余地も無いのだけれど」


九音の言いたい事が分からない。

―――母さんの失敗?

何の事だろうか。

だが、九音は疑問に答える変わりに、右目を隠した前髪を掻き上げた。


「さて、話は終わりよ。来たわ」

「え……っ!?」


直後、雛子も気配を感じ取る。


鬼だ。

強大な気を放つ、二十の鬼の集合体。

あまりに不快な気配に、吐き気が競り上がってくる。


「お前は下がって、澪を守っていなさい」

「しかし、ご当主お一人では…」

「足手纏いよ」


嫌っている癖に、それでも任に忠実であろうとする雛子を一言で切り捨てる。

仕方がない。

今の雛子を見れば、使えない事は一目瞭然。

鬼とはまだ距離があるのに、完全に気配に飲み込まれている。

アレを相手にしているのだから無理もないが、この程度では足枷にしかならない。