呪イノ少女、鬼ノ少女

「でも、それはあくまで下地。理由は、それだけでは無いと思うけれど」


九音は呟いて、一つしかない視線を山の方に向けた。


雲が厚くなって来た。

風に吹かれ、ゴウゴウと木々が鳴いている。

良くない気配が辺りに満ち始めている。


「他の理由?」


雛子には、思い当たらない。

端目には二人は仲良く見えていたのだ。

澪に対して、怒を覚えるような何かが幾つもあるとは思えない。

普段が普段なだけに尚更。


「そう。それが一番の理由ね。どうして茜は怒ったの?」


九音は分かっているらしい。

というか、雛子に話を聞いてからはっきりと理解していたようだ。


「えっ?それは確か…」


昨夜の食事風景を思い返す。

まず澪が、自身の事を茜に話始めたのだ。

が、いつもの通り茜は真面目に取り合おうとしなかった。

それで、いい加減堪忍袋の緒が切れた澪が、茜に手を出して……。


「澪さんが、食卓を滅茶苦茶にしましたね」

「ふふ、お転婆な澪も悪くないわね……でも、そうじゃない。茜はそんな程度で本心は出さない」


それは雛子だって分かっている。

だから、苛立ちを見せた茜に驚いたのだ。


「出させる何かがその時あったと?」