呪イノ少女、鬼ノ少女

「私の場合、澪のそんな健気で頼りない所が守ってあげたくなるのだけれど」


必要の無い所で色に惚ける。

やはり明日は、隕石でも落下するのかもしれない。

九音は、まるで菩薩のような柔らかな微笑を浮かべている。

が、それも一瞬。

またすぐに無表情に戻る。


「けれど茜にとっては、なまじ『透さん』に似ているだけあって、その弱さが許せないのよ、多分」


茜が愛した、透。

彼は、澪と比べるべくもない程に強い人間だった。

なのに、娘である澪は弱い。

彼女がその部分を見せる度に、自身の中にある『透さん』に泥を塗られているような気になるのだろう。

と、九音は推察する。


「母さん、『透さん』だけには遊びが無いですからね」


茜は四六時中気が抜けっぱなしだが、『透さん』に関しては人が変わる。

普段はあんなにだらしない癖に、片思いを三十年近くも続けているのだ。

年甲斐もなく、乙女なのだ。


「だから母さん、珍しく怒ったのか…」

「ただでさえ、恋敵の娘な訳だし。それなりに憎しみはあったはずよ」


茜が片思いをしている間、透は村を捨て、遠くの地で家族を築いていた。

澪は、茜から透を奪った女の血を引いている。

三十年分の恨みを掛けられていてもおかしくはない。