呪イノ少女、鬼ノ少女

「使い手である鬼祓の長を止める為に、当時の退魔師の半分が死んだってやつっすね」

「流石に、半分はお伽噺だがな。それでも村正なんざ目じゃねぇ妖刀だ」


そんな事件があって童子切安綱・鬼打は、代々退魔師の棟梁である天奉院家が封じて来たのだ。

そして、それが盗み出されたのである。


「天草は鬼打を使って、火群と似たような鬼の封じを、既に二つ破壊している」


此花は、破壊された場所の名を上げる。

二つとも、火群と並ぶ程の鬼を封じだ場所だった。

大和の表情が、一層険しい物になる。


「天草黒丞は、まだ火群にいるっすか?」


いるならば、戦わなければなるまい。

勝てる見込みは、万に一つも無いが。


「奴の狙いは、火群だけじゃねぇ。だから、早々に尻尾捲いてるとは思うがな…」


一貴は、珍しく言葉を濁す。

此花も彼が断言しない理由に心当たりがあるようだ。


「何にしろ、大和、天草を見付けたら構うな。さっさと逃げろ」

「いいんすか?」

「やるだけ無駄だ。お前じゃ、天地がひっくり返っても勝ちは望めねぇよ」


そうはっきり言われては、悔しさが残るが、一貴の言う通りだ。

実力も『鬼打』の格も違うのだ。

勝てる見込みなど無い。


「……了解。撤退優先でいくっす」

「ああ。で、お前は今日中に戻るのか?」


コクリ、と頷く。

雛子が心配だ。

一刻も早く帰ってやりたい。


「そうか。なら、道中には気を付けろ。近頃、鬼が増えてやがるからな」


軽い調子で発せられた言葉は、何を暗示しているのか。

大和はその意味を深く考える事はなく、屋敷を後にするのだった。




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