「使い手である鬼祓の長を止める為に、当時の退魔師の半分が死んだってやつっすね」
「流石に、半分はお伽噺だがな。それでも村正なんざ目じゃねぇ妖刀だ」
そんな事件があって童子切安綱・鬼打は、代々退魔師の棟梁である天奉院家が封じて来たのだ。
そして、それが盗み出されたのである。
「天草は鬼打を使って、火群と似たような鬼の封じを、既に二つ破壊している」
此花は、破壊された場所の名を上げる。
二つとも、火群と並ぶ程の鬼を封じだ場所だった。
大和の表情が、一層険しい物になる。
「天草黒丞は、まだ火群にいるっすか?」
いるならば、戦わなければなるまい。
勝てる見込みは、万に一つも無いが。
「奴の狙いは、火群だけじゃねぇ。だから、早々に尻尾捲いてるとは思うがな…」
一貴は、珍しく言葉を濁す。
此花も彼が断言しない理由に心当たりがあるようだ。
「何にしろ、大和、天草を見付けたら構うな。さっさと逃げろ」
「いいんすか?」
「やるだけ無駄だ。お前じゃ、天地がひっくり返っても勝ちは望めねぇよ」
そうはっきり言われては、悔しさが残るが、一貴の言う通りだ。
実力も『鬼打』の格も違うのだ。
勝てる見込みなど無い。
「……了解。撤退優先でいくっす」
「ああ。で、お前は今日中に戻るのか?」
コクリ、と頷く。
雛子が心配だ。
一刻も早く帰ってやりたい。
「そうか。なら、道中には気を付けろ。近頃、鬼が増えてやがるからな」
軽い調子で発せられた言葉は、何を暗示しているのか。
大和はその意味を深く考える事はなく、屋敷を後にするのだった。
*****
「流石に、半分はお伽噺だがな。それでも村正なんざ目じゃねぇ妖刀だ」
そんな事件があって童子切安綱・鬼打は、代々退魔師の棟梁である天奉院家が封じて来たのだ。
そして、それが盗み出されたのである。
「天草は鬼打を使って、火群と似たような鬼の封じを、既に二つ破壊している」
此花は、破壊された場所の名を上げる。
二つとも、火群と並ぶ程の鬼を封じだ場所だった。
大和の表情が、一層険しい物になる。
「天草黒丞は、まだ火群にいるっすか?」
いるならば、戦わなければなるまい。
勝てる見込みは、万に一つも無いが。
「奴の狙いは、火群だけじゃねぇ。だから、早々に尻尾捲いてるとは思うがな…」
一貴は、珍しく言葉を濁す。
此花も彼が断言しない理由に心当たりがあるようだ。
「何にしろ、大和、天草を見付けたら構うな。さっさと逃げろ」
「いいんすか?」
「やるだけ無駄だ。お前じゃ、天地がひっくり返っても勝ちは望めねぇよ」
そうはっきり言われては、悔しさが残るが、一貴の言う通りだ。
実力も『鬼打』の格も違うのだ。
勝てる見込みなど無い。
「……了解。撤退優先でいくっす」
「ああ。で、お前は今日中に戻るのか?」
コクリ、と頷く。
雛子が心配だ。
一刻も早く帰ってやりたい。
「そうか。なら、道中には気を付けろ。近頃、鬼が増えてやがるからな」
軽い調子で発せられた言葉は、何を暗示しているのか。
大和はその意味を深く考える事はなく、屋敷を後にするのだった。
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