呪イノ少女、鬼ノ少女

「じゃあ、茜さんも鬼祓なんだ」

「もう引退はしてるんですけどね。母さん、今でこそあんなですけど、昔は五本の指に入る程の鬼祓だったんで…」

「規則規則でウザったいから、辞めてやったのよー」


二人の会話を遮って、スーツに着替えた茜が、澪の脇を抜けて台所へと消えていった。

と思ったら、ジャム山盛りのトースト片手に戻ってくる。


「母さん…」

「じゃ、私は行くから。二人は九音ちゃんトコ行ってなさい」


トーストを噛りながら、モゴモゴと告げる。


「っ!?」


雛子が絶句する。

無理も無い。

昨日いざこざを起こしたばかりなのだから。


「ヤなのは分かるけどさ。アンタ一人で、アレから澪ちゃんを守れるの?」


一昨日、澪を襲った女鬼。

首に冷たい牙の感触を思い出し、気持ち悪くなって手を当ててしまう。


「癪だけどね、私もアレには敵わない。だから、アンタには無理。命令よ、九音ちゃんトコで大人しくしてなさい」

「っ……分かりました」


渋々だが、雛子は頷く。

いや、頷かなければならなかった。

今の茜の言葉は親としてではなく、九曜の当主として発せられたものだからだ。


「うむ、よろしい。じゃ私は行くわ」


満足そうに頷いて、茜はヒラヒラ手を振りながら、会合へと出発して行くのだった。

その視線を一度も澪に向ける事無く……。




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