呪イノ少女、鬼ノ少女

澪は驚いたような顔で、茜の顔をマジマジと見つめた。

この人は何を言っているのだろうか?

なぜ、自身が一方的に謝られているのか、分からない。

原因が分からないから、気持ち悪い。


「なに?どーしたの?」

「いえ…」


怪訝そうにする茜を誤魔化して、澪はまた彼女から視線を逸らす。

本当に許してくれているのだろうか?

茜は本気で言っているのか、些か判断しかねた。


「澪ちゃんは、私を赦してくれる?」

「え?」

「雛子の事を真摯に考えてくれている澪ちゃんに、酷い事言っちゃったもの。そんな私を許してくれるの?」

「そんな、当然です!許すも何もないですよ!」


ソレを求めたのは澪だ。

食い気味に肯定して、畳の上の手の平をぐっと握りこんだ。


が、その真摯な思いも、


「そ。ありがと、澪ちゃん」


素っ気無い返答に、ふっと力が抜けていってしまう。


やはり違和感を感じる。

もやもやとしたものが、胸から晴れなくてどうにもスッキリしない。

澪ばかりが空回りしている。


「じゃ、悪いけれど、私は服を着替えてすぐ出掛けるから」

「は、はぁ…」


曖昧に頷く。

やはり、茜が素っ気無い。

表情も、調子も、仕草も、いつもの様に軽い。

いや、それ以上に軽過ぎる。

押しても戻ってこない。


そうして、呆けているとじっと見られている事に気づいた。

無言の圧力だ。


「あ、す、すぐに出ますね!」


邪魔になっている事に思い至って、澪は慌しく立ち上がった。

ほとんど変わらない気色悪いくらいの微笑に一礼を残して、逃げ出すようにさっさと部屋を出た。