「‥やりたくないなら‥逃げよう‥」 

「‥えっ‥」

俺は彼女をおぶって走り出した。

遠くで使用人の声が聞こえている。

それを振り切るように走り続けた。

そしていつしかその声も聞こえなくなった‥。

薔薇の庭園だろうか‥噴水の周りには一面の薔薇が咲き誇っている。

「‥すげぇ‥」

ベンチに彼女をゆっくりと降ろす。

彼女と目が合うとその涙で濡れていた瞳が笑った。

「アハハ‥楽しかった‥

おんぶしてもらったの初めて‥」