千歌夏様‥あなたにだけです。〜専属執事のタロくん〜

「っ…」

タロくんが驚いた顔で振り返り私の顔を見つめた。

「私も認めるわ…だから、私の事を離さないで…」

タロくんが好き…

「…千歌夏様?」

タロくんが私の顔を覗き込む…
彼の不安そうな顔にゆっくりと手を伸ばす。

「…だって…私だってずっとあなたが好きだもの…」

「千歌夏様の好きは私とは違いますよ…」

そう言うと、彼は自傷気味に笑い、それと同時に綺麗な瞳に影が宿っていく。

「なら…私にあなたの好きを教えて…」

「…千歌夏…様」

私と彼の視線がゆっくりと重なり合う。

「…本当にいいのですか?
私…本気になりますよ…そしたら、あなたが離れたくても私、離しませんよ…離してあげる事ができません…それでもよいのですか?」

「はい…」

私がゆっくりと頷くと同時に彼の大きな腕が私を優しく包み込んだ。
ギュッ…

「…夢のようです…もう離さない。」

そう言うとタロくんは、私を何度も抱きしめた。

顔を見上げると嬉しそうに微笑むタロくんが見えた…
あ、このタロくん…昔のタロくんだわ…
執事になる前は、いつもあなたはこんな顔で私の事を見てくれた。
ちゃんと…認めるわ…私、あなたが好きだった。
ずっと…大好きだった。
…どんな人よりタロくんがいい。
私も…タロくんと離れない…絶対に。私も離してあげないから、覚悟してて。

「…ふふ」

私は笑ってタロくんを見上げた。

「笑った顔…本当に可愛い…大好きです」

そう言うとタロくんは、私に人生で2度目の口づけをした。
今度はとびきり甘い…トロケそうな口づけを…