「なんで……」
家庭科室前の廊下。
学校案内は始まったばかり。
いるのは私と、多賀くん。
そう。ふたりきりだ。
「ラッキーだね。校内デートみたいじゃん。ねぇ、麻衣ちゃん」
美琴は昼休みに急きょ学級委員の集まりがかかって断念。
夏美は先生に呼び出された。
そんなこんなで、ふたりで学校をまわることになったのだ。
男の子とふたりきりなんて、奏太以外で初めてだから緊張してしまう。
「麻衣ちゃんて、仲のいい男子とかいる?」
「えっ?うん。幼なじみなら…」
なるほど、といった風に多賀くんは頷いた。
「ダンナさまってわけじゃないね。じゃあ候補か」
そしてブツブツとつぶやきながら何か考え始める。
「麻衣ちゃん、俺も立候補していい?」
「え?なにを……?」
そんなの決まってるじゃん、と。
「かれ……」
「麻衣」

