「俺は麻衣のこと好きだから」
「あーはいはい、私も好きだよ」
ちがう。幼なじみとしての好きじゃない。
麻衣のこと、1人の女子として好きなんだ。
手を伸ばして、麻衣のお団子をといた。
「えっ、なに…?……もー、せっかく夏美にしてもらったのに」
誰かに見られるのやだし、俺がもたないし。
「お団子、可愛くなかった?」
「可愛い」
…じゃあ、ほどかなくてもいいじゃん。
そう言いながらまたすねる。
俺が可愛いって言っても少しも照れない。
…少しは赤くなってくれてもいいのに。
「電車、もう来てる。急ごう」
電車に飛び込むと、ちょうど帰宅ラッシュで席が埋まっている。
仕方ないので俺はつり革につかまり、届かない麻衣を前に立たせる。
ガタッ、と電車が出発したと同時に麻衣が抱きついてきた。
「………………っ」
「こんなラッシュ、久しぶりじゃない?人多いね」
分かっている。
これは…、そんなんじゃなくてただ麻衣がよろけないようにするだけ……。
それでも、制服ごしに麻衣のぬくもりが伝わり、心臓が嫌に速く動く。
バカ、俺…! 麻衣に聞かれたらどうすんだよ…!
てか早く駅に着いてくれ…。
天をあおぎ、違うことを考えようとする。

