俺たちはただの幼なじみ。
「………俺は幼なじみやめたいけど」
「ん?なんか言った?」
「なんでも」
本当はさっさとこの曖昧な関係を終わらせたい。
でも、今はまだ1番近くにいれるこの立場がいい。
「ねぇ奏太、帰ったら映画見ない?」
「…ホラー?」
「嫌だよ無理だよ!こないだ見損ねた恋愛映画がいいなー」
レジに並ぶと、おばさんがニコニコして聞いてきた。
「いいねぇ、カレカノ?」
え、と財布を持つ手が一瞬とまった。
「いえ、おさな…」
「はい、デートの帰りで」
麻衣が言うのをさえぎって、頷く。
え、と麻衣がこっちを見た。
「青春、よねぇ」
はたから見たら俺たちは、カレカノに見られるんだな。
そりゃ制服の男女がお買い物って付き合ってるようなもんだし。
「またねぇ」
レジ打ちのおばさんが手を振って、ども、と頭を下げる。
外に出ると麻衣が背中にドゴッと頭突きしてきた。
「いてっ…なんだ?」
「分かってるくせに!私たちはカレカノじゃなくて、幼なじみでしょ!?」
「あぁ、それ。なんとなく、そー見えるのかなって」
「…もう」
ちょっとすねている麻衣が可愛くて、くすっと笑う。
「…好きな人に悪いよ」

